眼科
眼科について
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当院では眼科診療にも力を入れて取り組んでおります。内科・外科治療の両側面から、視覚の維持や回復、生活の質を高めることなどをめざしております。
さまざまな眼科疾患に対応し、白内障や緑内障の手術・ぶどう膜炎の治療も可能です。レーザー治療・眼球摘出手術・薬剤注入処置・シリコンインプラント挿入(義眼)などを通じて、内科治療の負担軽減もめざします。セカンドオピニオンや他院からのご紹介をはじめ、各種専門病院とも連携しながら診療を行っております。少しでも目の異常が疑われる場合は、できるだけ早くご相談ください。 -
このような症状があれば
ご相談ください- 白目が赤い、白目が腫れている
- 瞼が腫れている
- 黒目が赤くみえる
- 眼やにの量が増えた
- 眼が全体的に白く濁っている
- 眼の大きさが左右で違うようにみえる
- 眼をつむったままであったり、目をしばしばさせて瞬きが多い
- 物によくぶつかる
- まぶたに出来物がある
- 涙が多い
よくある眼科疾患
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白内障
人でも比較的よく知られている病気で、水晶体という組織が白く濁る病気のことです。
白内障
ネコちゃんよりもワンちゃんで発生が多くみられます。人の場合、年齢を重ねると発症する病気のイメージがありますが、遺伝性白内障の場合は1歳頃からでも発症する動物もいます。瞳の中が白く濁って見え、進行すると眼の痛みの原因や、視覚喪失の原因となる場合もあります。人と同様に手術で視覚の回復が期待できる病気でもあります。(ほかの病気で眼が見えない場合は手術対象外です) -
チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)
第三眼瞼腺の脱出は、1歳未満に特に多くみられます。はじめは片側の目の第三眼瞼腺が脱出し、時間差でもう片側も同様の状態になりやすいといわれております。症状としては、流涙や目ヤニ、結膜炎、疼痛などが挙げられます。
特に遺伝的な欠損や発育の異常が認められる際に、第三眼瞼腺の脱出を発症しやすくなります。コッカー・スパニエル/ビーグル/ボストン・テリア/フレンチブルドッグ/シーズー/バセットハウンド/ペキニーズは好発犬種です。 -
診断のために行う検査
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視診
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涙液検査
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治療方法
徒手により整復し点眼療法を行っても再発するリスクが高いため、手術による治療を第一に考えます。
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緑内障
様々な原因で眼圧が上昇し、高い眼圧のまま数日放置すると失明してしまう病気です。眼のしょぼつき、眼が開かない、痛そうで元気がない、白目が充血している、涙が急に増える、物にぶつかるようになったなどの症状が表れます。猫でも犬でも見られますが、その原因は多岐に渡るため、まずはご相談ください。原因によって治療法は異なりますが、失明させないためには早期発見し、眼圧をコントロールする必要がある緊急的な病気です。
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病気の種類
緑内障はその原因により、先天緑内障、原発緑内障、および続発緑内障に分類されます。
先天緑内障 生まれつき房水流出路に形成異常が生じており、それが原因で緑内障が生じます。ワンちゃんの発症は稀です。 原発緑内障 眼圧を上昇させる眼科疾患がなく、ワンちゃんの中で最も発症しやすいタイプの緑内障です。遺伝性が強い犬種もあり、緑内障が両目に発症します。 続発緑内障 眼圧を上昇させる原因となる眼科疾患があり、房水の流出障害が生じてしまい、緑内障を発症します。 -
診断のために行う検査
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細隙灯顕微鏡検査
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眼圧測定
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隅角鏡検査
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超音波検査
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治療方法
急性期における緑内障の治療では、「視覚の維持」が最大の目的です。点眼療法により、眼圧を下げることをめざします。その後は、まだ視覚があるうちに、できるだけ早く手術することがおすすめです。手術方法には、前房シャント術・毛様体光凝固術などがあります。
慢性期の緑内障で視覚を喪失している場合、治療の目的は疼痛の緩和です。点眼療法がメインですがそれだけでは難しい症例も多く、手術が推奨されています。眼球摘出術・義眼挿入術・毛様体破壊術(薬物による)のいずれかを選択します。
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角膜潰瘍
角膜とは、一般的に「黒目」の一番外側の透明な組織のことです。角膜が透明である場合は視覚が維持されます。角膜潰瘍とはその角膜に傷が付いてしまい、傷が深くなった状態です。しょぼつきや眼の充血、急な涙の増加などの症状がみられます。特に短頭種(シーズー、フレンチブルドッグ)などの鼻が短く、眼が出ているワンちゃんなどが起こしやすい病気です。傷が付いた部分に細菌が入ってきて、感染を起こすとより症状が重くなってしまうこともあり、手術が必要となる場合もあります。そのため、早い段階での発見、治療が大事です。
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ぶどう膜炎
眼の中にある黒目は虹彩・毛様体・脈絡膜という血管が非常に豊富な膜でできています。その3つの膜の総称を「ぶどう膜」と呼び、そこが炎症を起こした状態がぶどう膜炎です。しょぼつき・眼の充血・黒目の濁りや眼の中の出血といった症状がみられます。ほかの眼の病気が原因になることもあれば、感染症や腫瘍などの全身性の疾患が原因になることもあります。原因の特定が困難な場合もありますので、いずれも早めの治療が必要です。
眼科で行う検査
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一般眼科検査
触診・視診(肉眼や拡大鏡を用いての検査)を行い、眼瞼・角膜・結膜・強膜・前房等の異常を検出します。また、カメラを用いて記録を残しております。治療効果の判定などは以前の写真と比較しながらご説明しますのでご安心ください。
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スリットランプ検査
細い光を当ててまぶた、角膜・前房・虹彩・水晶体・硝子体の状態を調べるのに必要な検査です。角膜の傷の深さや、眼の炎症の有無、白内障の進行程度などに有用な検査となります。
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角膜染色検査
眼の表面に傷が付いていないかどうか、涙の性状に問題がないかなどを、特殊な染色液を用いて実施する検査です。眼に傷が付いている場合はその広さや深さに応じて治療を決定します。
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涙液検査
涙の量を測定する検査です。涙の量が減少する病気(乾性角結膜炎)などの診断に用います。
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眼圧検査
眼の内側からの水圧を測定する検査です。主に緑内障を疑う場合に行います。黒目の中心部に眼圧計をやさしく接触させ測定。痛みはほとんどありませんが、嫌がる動物には局所麻酔を行ったうえで実施します。
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隅角鏡検査
緑内障の際に原因を特定するための検査です。特殊なミラーを用いて、肉眼では見えない眼の裏の「隅角」という水の流れ道を観察します。局所麻酔を行ったうえで、特殊なレンズとゼリーを用いて行います。
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眼底検査
眼の奥の網膜や視神経の状態を観察し、記録する検査です。光を当てると瞳が縮むため、十分な観察が行えない場合には瞳を開くお薬(散瞳剤)を使ってから検査することがあります。瞳が十分に開くまで数十分から1時間ほどお時間をいただく場合がございますので、あらかじめご了承ください。
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超音波検査(エコー)
角膜が濁っていたり、白内障が進行したりする場合に行う検査です。眼の中を直接観察できない場合や緑内障の原因精査(腫瘍がないかなど)を調べるために行います。眼に痛みがないように目薬で局所麻酔したあとで特殊なゼリーを使って検査します。
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